Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

日吉の馬場

日吉の馬場の特徴である穴太積みの石垣と白壁

 日吉はヒエとも読み、日吉大社は全国の日吉神社日枝神社の総本社である。また、比叡山と同じ読みであることから、自然の山そのものを崇拝する古代の山岳崇拝が神道化したというのは間違いなく、後には延暦寺との神仏習合によって仏教色も入り、平安京の鬼門守護として栄えた。

 日吉の馬場は、ヒエノバンバと読み、比叡山の東側の麓、京阪の坂本比叡山口駅から日吉大社へと続く、真っすぐな参道のことである。馬場という名が付けられていることから考えると、いつの時代かには流鏑馬などの馬を使った神事が行われていたか、あるいは参拝する武士が下馬する場所であったのかもしれない。

 この辺りの里坊群は、比叡山を隠居した老僧が、座主から麓に里坊をもらって居したのが始まりとされ、路地を入れば必ず里坊があると言えるほど多いが、神道の施設である大社の門前に仏教の里坊がたくさんあるという情景は、神仏習合の名残が強く、日本らしい宗教都市の観がある。

 これら里坊の敷地は、全て穴太積みで積まれた石垣によって区画されており、それがこの古びのある独特な光景の大きな源なのだろう。ちなみに、この石垣積みの技能に目を付けた織田信長は、この辺りに住んでいた穴太衆に城の石垣を積ませ、その後の秀吉も家康も穴太衆を重用し、その影響を受けた大名も、家中に穴太衆を召し抱えていたという家が多く、このようにして穴太積は全国へと広がって行った。

 日吉大社の鳥居を遠景に置きつつ、傾斜地に並ぶ石垣と白塀は独特の風景を創り出しており、非常に重厚でありながら明るい雰囲気の門前町となっている。春と秋には桜や紅葉が綺麗というが、夏も青い空と白っぽい石垣や白塀がよく似合い、これはこれでなかなか良かった。

 

最終訪問日:2001/8/29

 

 

日吉の馬場の通りは桜の名所ですが、路地がなんとも言えず雰囲気があっていいですね。

お城の野面積の石垣は武骨な野趣がありますが、里坊の穴太積は、自然の荒々しさも残っていますが、優雅さも兼ね備えています。

石垣好きにはたまりませんね。