Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

有馬温泉

有馬温泉金の湯

 温泉の歴史は古く、和歌山の白浜温泉、愛媛の道後温泉と共に日本三古泉に数えられる日本最古の温泉のひとつ。源泉の数が多く、泉質も複数ある為、有馬温泉郷と呼ぶのが正しいのだろう。

 有馬温泉は、文献上では、日本書紀舒明天皇が利用したことが記され、枕草子でも三名泉に数えられており、おそらくは有史以前から利用されてきたと推測される。伝承では、行基や仁西といった高名な僧が温泉街としての基盤を整え、戦国時代にはあの太閤秀吉も大変愛し、9回も訪れ、手厚く保護した。

 有馬があるのは、港町神戸から六甲山を越えた神戸の裏庭とも言うべき場所で、狭い谷筋に温泉旅館が多く建ち並び、温泉街を形成している。この街の中には神戸市が運営する公衆浴場もあり、昔は温泉会館と呼ばれていたが、2002年12月4日に金の湯としてリニューアルオープンし、2001年9月13日にオープンしていた銀の湯と合わせて2軒となった。また、温泉旅館でも日帰りで利用できるところが結構あるので、外湯だけでもなかなか楽しめる。

 泉質は、有名な金泉が、鉄分を大量に含んで赤茶色に濁った含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉で、舐めてみると当然鉄臭くて塩辛く、元湯は海水以上の塩分濃度があるという。また、湧出温度は、ほとんどの源泉が90℃以上という高温で、地下では圧力のために128℃もある。源泉の素となる水は、フィリピン海プレートが沈み込む時に岩石に交じって取り込まれた海水で、地下40~80kmで高温高圧となり、有馬高槻構造線という巨大な断層の破砕帯を通して地表に上がってきた温泉で、日本に多い火山性の温泉ではなく、成り立ちとしては珍しい。ただ、これほど有名な温泉ながら、詳しいメカニズムは完全に解明されたわけではないようだ。

 もうひとつの有名な銀泉は、二酸化炭素泉と俗にラジウム泉といわれる放射能泉の2つがあり、こちらは金泉とは打って変わって無色透明だ。由来となる水も雨水で、地中で六甲花崗岩や炭素を獲得して放射能泉や炭酸泉となる。

 複数の泉質が味わえ、食べ歩きができるようなレジャーとしての温泉街もあり、都市部に近くてアクセスが良いという、全国で見てもかなり好条件な温泉で、1度は行ったことがあるという人も多いのではないだろうか。地元の人間として、今後も温泉を大切な資源として守りながら、温泉街を発展させて行って欲しいと願う。

 

最終訪問日:2020/8/12

 

 

神戸に住んでいる身としては、灯台下暗しで、あって当たり前のような感じになってしまっていますが、近くにあり、しかも複数の源泉が楽しめる場所というのは、凄く貴重ですね。

自分たちの世代は、どんだけ熱いねんと言いたくなるほどひたすら湯が熱かった温泉会館の印象が強いですが笑

その頃は昭和な感じがプンプンしてました。

今は和モダン的な小洒落た温泉街になっていますが、昭和な感じも、それはそれで懐かしいですね。