播州平野の稲美野を潤す加古川の中流、中国自動車から1kmほど北のところにある幅広の滝。地図や交差点名には、竜の字で闘竜灘と表記されていた。
幕末の詩人梁川星巖が漢詩に詠んだ事から名付けられたという闘龍灘は、かつて栄えた加古川の水運が南北に断たれる場所であり、加古川中流の豊富な水流の中に突然現れる奇岩、怪岩が流れを分かち、まさに龍が闘っているような荒々しい様相の場所である。滝はよく龍に喩えられるが、飛龍のような美しく孤高なイメージで捉えられるものとは違い、闘龍灘から連想される龍は、生き物としての生身の龍から出る激しさと力強さが感じられ、まるで龍が巨体を揺らしながら地を這っているようだ。
激しい流れが鮎を飛び跳ねさせることから、闘龍灘は飛び鮎の名所としても知られ、その鮎の習性を利用した筧捕りとも筧漁とも呼ばれる独特の漁法が発達した。現在でも、鮎料理は闘龍灘周辺の名物で、鮎を釣る釣り人も多い。
個人的には、自宅から車で1時間ほどという絶妙の距離にあり、バイクでも車でもちょっと運転したい時の目的地にすることが多く、とても身近な場所だ。最初に訪れたのは夜だったが、その水量と音に感動し、しばらく時間を忘れて過ごしたのを覚えている。また、台風通過直後に行った時は、闘龍灘一帯が濁流に飲み込まれて岩肌も見えず、ただの増水した川になっていた。闘龍灘のスケールの大きさが好きなのだが、さすがに台風の残した水量には全く敵わないらしい。桁違いの自然の大きさに、ただただ圧倒されるばかりだった。
最終訪問日:2023/12/30
個人的には、最も身近な滝ですね。
瀑布という言葉が相応しいほどの迫力ですが、夜の方が滝の迫力をより感じるかもしれません。
静かな時間に、地鳴りのように聞こえる轟音。
圧倒的な自然の雄大さを感じます。