Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

橋杭岩

 大小40もの岩が、対岸の大島へ続く橋のように850mに渡って一列に並び、橋梁が落ちて橋脚だけが残ったように見える奇岩。国指定の名勝であり、天然記念物にもなっている。

 伝承では、天邪鬼と弘法大師が沖の大島へ向かって橋をどちらが早く架けられるか賭けをしたが、弘法大師があまりに早く進めていくので、焦った天邪鬼が鶏の鳴き真似をし、弘法大師は朝が来たと勘違いしてやめてしまったため、橋の橋脚部分だけが残ったという。

 紀伊半島は、約1500万年前から約1400万年前に掛けて火山活動があり、約1400万年前の破局的噴火では、巨体な熊野カルデラを成した。この時期の火山活動により、熊野地方には奇岩や巨岩が多いのだが、橋杭岩もこの時期の火山活動によってできたものである。

 地質的には、マグマの噴き出しによって泥岩層の隙間に流紋岩が貫入し、それによって板状の石英斑岩の岩脈が出来上がり、後にこの岩塊の柔らかい泥岩層から浸食風化を受け、石英斑岩の岩脈だけが残った。この板状の岩脈が部分部分で崩壊したため、現在残る橋杭のような形状になったのである。

 また、崩壊した岩が陸地方向に散らばっているのは、過去の幾度もの南海地震による津波のためという。橋杭として残った岩も、崩壊して散らばった岩も、自然の巨大な力を示す物証なのである。

 橋杭岩のすぐ近くの国道42号線沿いには、駐車スペースがあり、売店なども出ているが、大きさが岩だけに大きいので、国道から走りながらでも十分見ることが可能だ。また、干潮の時には中ほどにある弁天島まで歩いていくことができるほか、朝日を撮影する名所としても有名な場所である。

 

最終訪問日:1995/8/17

 

 

巨大な岩がずらりと並んでいるのは、壮観で迫力がありますね。

目の前にすると、人間の力の及ぶ所じゃないという、畏怖に似た思いすら感じます。