Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

猿沢池

猿沢池全景

 猿沢池は、興福寺の放生池として天平21年(749)に造られた人工池で、周囲約360mほどの小さな池である。平均水深は約1.0mで、最大水深は約1.5mという。

 放生とは、殺生せずに生き物を自由にすることで、実行すると徳が積めるという仏教の教えから、このような池が造られたのだが、やがて猿沢池とも呼ばれるようになり、名勝として和歌にも詠まれた。水面に映る月は奈良八景のひとつにも数えられるほどで、猿沢池興福寺五重塔の風景は、写真などで目にした人も多いのではないだろうか。

 猿沢池には、七不思議の話や、帝の寵を失った采女が身を投げたという話などが伝わっている。七不思議とは、「澄まず、濁らず、出ず、入らず、蛙はわかず、藻は生えず、魚が七分に水三分」というもの。澄みも濁りもせず、入る水も出る水も無いのに水位は一定で、亀は多いのに蛙はおらず、藻も生えない。そして、魚は毎年放たれるが、魚が溢れることもなく、しかし魚が水より多いような池という意味である。この言葉だけで、池の雰囲気がよく解るだろう。

猿沢池興福寺五重塔

 采女の身投げ伝説に関しては、伝わる話が複数あるようで、入水していない話もあるそうなのだが、一番有名なのが、帝の寵が衰えたのを悲しんで入水したという話のようだ。駅のある西から来ると、猿沢池の右手に、池に背を向けて西向きに鎮座する社があるが、これが身を投げたという采女を祀る神社である。なぜ西向きかというと、采女を慰める為に建立されたものの、入水した池を見るのが忍びないと、一夜にして御殿が反対を向いたためという。また、この采女神社では、中秋の名月采女祭りが営まれている。

 現在の猿沢池は、親水公園的な雰囲気を持つ池となっており、池端も整備され、広い奈良公園を歩き疲れた観光客が、水辺で休憩をする場所となっている。古都を象徴するような五重塔を眺めながら、ゆったりと過ごせる場所で、奈良の雰囲気を味わうには最適の場所だ。

 

最終訪問日:2021/3/27

 

 

奈良には何度も来ていますが、ほぼ必ず訪れている場所ですね。

それほど、雰囲気が心地よい池なんです。

五重塔と時々動く亀を見ていると、時間すら忘れてしまいますね。