Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

瓜生羅漢石仏

岩窟に並ぶ石仏

 キャンプ場などがある、相生市の羅漢の里の管理事務所へと続く道の途中に、右折して山へ入って行く道がある。これが、感状山城と瓜生羅漢石仏へ続く登山道だ。

 遊歩道の入口には、水車のある農家が出迎えるように建っているが、そこから羅漢石仏のある場所までは、10分程度の道のりで2通りのルートがある。といってもほぼ平行していて、真っすぐ登って行くと大正か昭和の初期頃に整えられたような良い道があり、途中から左に折れて登ると奇岩をくぐって行く昔のままの道があった。足に自信のない人は真っすぐ行くほうが安全だが、やはり、羅漢へと登っていく道に相応しいのは、左に折れる道だろう。ここを歩けば、もはや渓谷というよりも何かが棲みついていそうな、幽谷という言葉が相応しい雰囲気が漂っている。

羅漢石仏の説明板

 羅漢仏は、奥行き約4mの岩窟の中に並べられており、釈迦如来像を中心に文殊菩薩普賢菩薩、そして十六羅漢像が並んでいるのだが、この羅漢仏の制作者や制作年代は不明という。伝わる話としては、朝鮮の僧である恵便と恵聡一行が隠れ住んで後世の人々と仏縁を結ぶために作ったとも、感状山城の搦手間道にあたることから、討死した武士達を弔う為の供養仏であるともいう。

 何にしろ、その造形は、人工物でありながら、深山の傍らに溶け込むような自然美があった。じっと眺めていると、寺院仏像の完成された人工美とは対極を成しているが故に、無名の人間の想いが強く残っているように思える。

 

最終訪問日:2007/12/8

 

 

訪れた季節が、晩秋から初冬の季節だったせいか、羅漢像の色彩も周囲の景色も、ひたすら無彩色のイメージが強いですね。

それだけに、遊歩道周辺で綺麗に色づいていた紅葉が、鮮やかな記憶として対照的に残っています。