Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

野島断層保存館

 平成7年(1995)1月17日午前5時46分に発生した、阪神淡路大震災震源となった活断層を、約140mに渡って保存展示している資料館。開館は地震から3年経った平成10年(1998)4月2日で、北淡町震災記念公園内にある。

 野島断層は、震災後、約9kmに渡って地表に露出し、最大で垂直方向に1.2m、水平方向に1.9mずれた。保存されている部分は、ずれが最大となった箇所ではなく、また、露出後はしばらく風雨に晒されていた為、震災直後の切り立った断層の姿でもないが、動かなくて当たり前という観念がある地面がこれだけ動くというのを目の当たりにすると、自然のエネルギーには圧倒されるほかない。また、地表の様子以外にも、掘り下げたトレンチによって断層の様子を見ることができ、それはまるで教科書のように解りやすい断面となっている。

 余談だが、震災後、自分から比較的近い場所にも、断層の枝葉のようなものが数10cmの段差として露出していたが、幹線道路を横切っていた為、1週間ほどで整地されてしまっていた。よく考えれば、そこは数10mの台地と平地の境目で、台地はこの繰り返しで隆起したもののようだ。断層がこれほど身近に潜んでいるとは想像できなかったが、復旧の過程で消されずに、この野島断層のように目に見える形で保存できているのは、研究の上でも防災の上でも非常に貴重なのだろう。

 保存館には、断層以外にも、横転したトラックを再現したものや、様々な写真などの展示もあり、断層が敷地を横切っていた家も、そのまま保存されている。この家は、ヘリコプターなどで断層が撮影された際に、その断層の動きを端的に捉えられるものとしてよくテレビに映っていたのだが、それは、高速道路から落ちかけたバスと同じで、今でも鮮明に覚えているほど衝撃的な映像だった。

 保存されている家の中を見学していると、中部地方から来たと思われる若い人が、物が散乱したキッチンの様子を見て、ちょっとわざとらしいなというような感じで話していたが、実際その時になると、あり得ない事が起こるということを知っておいてほしい。幸い、自宅の被害はそれほどでもなかったが、体の上を大きなスピーカーが飛んで行ったりだとか、トランポリンのように体が跳ねて起き上がれないといった話はザラで、ひとつ間違えば死んでいたというのも山ほど聞いたし、メディアでも流れていた。この保存館を見て、そんな話に少しでもリアリティを持ってもらえるならば、断層を保存する価値があるのだと思う。

 

最終訪問日:2003/6/7

 

 

ここはもう、実際に訪れて見て欲しいとしか言えない場所ですね。

震災級の地震になると、ここで展示されているような事が多くの場所で起こり、多くの人の身に降り掛かるのは明白ですから、少しでも実感として持って帰って欲しいものです。

事態は想像を超える。

体験した者として、それ以外に言葉はありません。