Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

明境洞

日本海まで見通すことができる明境洞

 陸地が海へと落ち込み、岩がそそり立つ海岸線が続くというのが、丹後半島や若狭に見られるリアス式海岸だが、その一部が海水の浸食によって洞窟のようになったのが明鏡洞で、高浜城跡のすぐ下の小さな入り江から、明境洞の洞門を通して日本海の水平線を眺めることができる名勝である。

 日本海の荒波が打ち付ける高浜には、その海の波濤の力によって、八穴の奇勝や高浜の八穴などと呼ばれる海食洞の名勝があるが、明鏡洞は、それらの中で最も大きい洞門という。

 明鏡洞という名前の由来は、洞門越しに見える日本海が鏡のように見えたことから、名付けられたとされる。春に訪れた時は、まさにその言葉通りに鏡のような水面が洞門周辺に広がり、夕刻の陰影も相まって、静寂さが川霧のように漂う泉水式の庭園をそのまま切り取ったような景観を見せていた。

 一方で、秋に訪れた時は、天気があまり良くなかったのもあったのか、やや高い波が明鏡洞から幾重にも溢れ出るように打ち寄せており、かなり荒々しい姿だったのが印象に強く残っている。この時の荒々しさは、明鏡という字からはほど遠い姿ではあったのだが、荒々しい日本海の様子が秋の入口を感じさせ、裏日本独特の厳しさと寂びた雰囲気があり、これはこれでかなり良かった。

 春と秋で違う表情を見せるというのは、どこの名勝にも言える事ではあるのだが、明鏡洞は、それぞれが違った趣というのではなく、全く正反対の顔というのが面白いところだろう。また、どちらの表情も、日本海とそれに晒される岩塊の一面を強く表しており、捨てがたい魅力がある。

 

最終訪問日:2009/4/18

 

 

すぐ近くの高浜城に行くまで、その存在を知りませんでしたが、雰囲気のある名勝ですね。

特に夕闇迫る時間は、恐ろしく静寂なる空間でした。