Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

養老の滝

養老の滝と碑

 揖斐川の支流津屋川の水源となる養老山地の滝谷にあり、落差32m、幅4mを誇る滝で、日本の滝100選のひとつ。滝の下流では、流れは涸れ谷となり、伏流水となって津屋川へと流れ込んでいる。ちなみに、現地では養老の滝の表記であったが、「の」がカタカナであったり、「滝」が瀧であったりと、場所によって表記の揺れがあった。

 養老の滝は、かなり古くから発見されていた滝のようで、続日本紀元正天皇の項には記述が見える。ただし、続日本記では、下の孝子伝承とは違って滝ではなく美泉であり、孝行息子は出てこない。単純に、元正天皇美濃国不破へ行幸した際に美泉に触れ、若返ったことを瑞祥として、養老に改元したという話であるのだが、これは後の孝子伝承の原型となった。

 その孝子伝承は、鎌倉時代に成立した「十訓抄」や「古今著聞集」などの説話集にあるもので、地元の樵が苔むした岩間から湧く酒を見つけ、喜んで瓢箪に入れて持ち帰り、酒が好きだった老父に飲ませたところ、とても良い味で、老父も若々しくなったという話である。そして、その親孝行の噂が遠く都まで伝わり、噂を聞いた元正天皇が、自らこの泉に浴して若返ったといわれ、これを記念して若返った年の意の養老を元号としたと続く。ただ、酒が仙薬であったり、美泉であったり、老父が老母であったりと、文献によって多少のバリエーションがあり、説話の成り立ちを考えると、面白いところだ。

 養老の滝と共に日本の名水100選にも選ばれているのが、付近に湧出する菊水泉で、こちらは日本三大銘水にも数えられている。こちらも伝承と同じく滝とワンセットになっており、付近には、長寿を祈願する養老寺や不老ヶ池など、この養老孝子物語にまつわるものが多い。

 訪れた時は、水の少ない夏場だったのもあって、落差の割に水量はそれほどではなく、水の圧をそれほど感じずに滝壺のすぐ近くまで行くことができた。ほぼ真下から見上げると、滝の飛沫と風圧を体で実感することで、確かに若返るような爽快感を味わうことができて心地よい。雪が残るような冬も魅力的かと思うが、夏場は特にお勧めの滝である。

 

最終訪問日:2001/8/28

 

 

名産であった養老サイダーは、訪れた時は無くなってしまっていましたが、今は違うメーカーから復活しているようですね。

神戸にも有馬温泉のサイダーがあるせいなのか、妙に気になってました。

時を経て復活するぐらい、地元に愛されていたサイダーなんですね。