Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

白山市立鳥越一向一揆歴史館

 加賀の一向一揆の最後の拠点となった鳥越城と二曲城の間にある、一向一揆に関する歴史資料館で、両城の案内室の役割も担っている。平成13年(2001)4月14日の開館。

 加賀を支配した一向一揆は、長享2年(1488)に守護大名富樫政親を打倒したことにより、国人衆と蓮如の子供らが加賀の実質的な支配を確立したことで始まるのだが、富樫氏との間には、文明5年(1473)から翌年に掛けて政親の要請で文明一揆を起こすなど、以前から因縁があった。つまり、一向一揆としての勢力は、それ以前から時の支配者が期待するほどのものだったという事が解る。

 一向一揆による支配が確立した後、大小一揆と呼ばれる、中央集権的性格を強める法主側と加賀を支配する一門衆との間で対立があったものの、朝倉氏や長尾氏といった近隣の有力大名の弾圧にも屈せず、その支配は、戦国時代末期に信長が一向衆の組織的抵抗を解体した天正8年(1580)まで、百年近くに渡って続いた。これにより、加賀は百姓の持ちたる国と呼ばれたのだが、この鳥越にある鳥越城と二曲城は、その解体直前の最後の拠点となった城である。

 国指定の史跡である両城の整備に伴い、その案内施設を兼ねた一向一揆に関する知識を深めるための施設として、この鳥越一向一揆歴史館は設置された。

 資料館に入館し、通路の展示物を見ながら先に進んでいくと、一向一揆の歴史や広がりなどがビジュアル的に解りやすい形で解説されており、あまり予備知識が無い人でも理解がしやすいだろう。映像資料もあり、一般的には知名度が低い一向一揆に対する取っ掛かりとしては、工夫された展示内容だった。

 また、奥の広い展示スペースは、鳥越城や二曲城での出土物が並んでいるほか、両城の模型などもあり、こちらも両城について視覚的に理解しやすいようになっている。

 建物の規模は小さいが、展示テーマが絞り込まれているため、割と深い内容もあって興味深かった。両城、もしくはどちらか片方の城に寄るならば、この歴史館で予備知識を得て散策したほうが、城の全体像を掴み易く、また、興味深く散策できるだろう。

 

最終訪問日:2012/5/13

 

 

隣接する道の駅一向一揆の里は、そばが大変人気なようで、行列ができるほど賑わっていましたが、こちらの歴史館は対照的に静かで、落ち着いて見学することができました。

城に行くなら、是非立ち寄って欲しい資料館ですね。