三保の松原がある三保半島の北端。
三保半島は、かつては別流だった安部川と藁科川が海に運んだ土砂と、有度山を中心とする日本平の南麓から波によって削られた土砂が、海流によって東へ流され、堆積した砂嘴である。
三保半島の砂嘴は、先が3つに分かれていることから、正確には分岐砂嘴といい、その砂礫による痩せた土壌と強い風浪に耐え得る松が半島に茂り、三保の松原という名勝となった。また、その松と半島によって風浪から守られる内湾は港となり、今でも清水港として活用されている。
真崎は、その三保半島の北端で、三保内浜海水浴場と真崎海水浴場の境となる砂浜であり、他の一般的な岬とはやや趣が違って岬という雰囲気が少ない。穏やかな内湾が控えていることや、眼前に清水の工場地帯や市街地が見えるというのもあるのだろうか。逆に言えば、周囲から隔絶するような突端の岬に比べ、人の生活に近い岬と言えるのかもしれない。
真崎にかつてあった灯台は、清水真埼灯台と名前が付いていたが、灯台としては防波堤灯台と同じ程度の小規模なもので、かわいい灯台であった。小さいが故に説明板等も無く、何気なく砂浜に置かれただけのような素朴さがあり、穏やかな内湾の灯台らしさがあったのだが、残念ながら平成28年(2016)11月に廃止となったようだ。
灯台の銘板によると、昭和11年(1936)5月に初点灯し、平成6年(1994)3月に改築されたようで、位置を地図から拾うと、北緯35度1分14秒、東経138度30分58秒であった。
訪れたのは早朝の時間帯で、周囲には10人ほどの釣り人がいたほか、犬の散歩をしている人もおり、ゆったりとした時間が流れる郊外的な雰囲気の岬である。ただ、海水浴場の一角ということもあり、夏場の休日にはかなりの人で岬も賑わうのだろう。遠くの富士山や、近くの清水の街、そして当時存在していたかわいい灯台と、景観的にも取り合わせが面白い岬だった。
最終訪問日:2016/5/22
何かを掴もうとする手のような形の砂嘴の先端は、やっぱり指先にあたる場所だと思うんですが、そこにもうあのかわいい灯台は無いんですね。
衛星写真で見ても、台座が残っているだけ・・・
何とも言えない雰囲気が良かっただけに、ちょっと寂しいですね。