Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

旧西川家住宅

 江戸時代中期に建てられた豪商の店舗兼住居で、重要文化財に指定されている典型的な近江商家。内部には江戸期の商人が使用した道具などが展示され、商家の資料館のようになっていた。入場料は、単館で見学もできるが、市立資料館やかわらミュージアムとの共通券もある。

 近江八幡は、天正13年(1585)に豊臣秀吉の甥秀次によって城下町として開かれたが、秀次の処断を受けて城は早々に廃され、江戸時代には八幡商人の町として繁栄した。この西川家も、大いに繁栄した商家のひとつで、大文字屋を屋号とし、代々の当主は西川利右衛門を名乗って蚊帳や畳表を扱い、江戸や大坂、京都に店を出していたという。しかし、11代目得淨に後継者がおらず、昭和5年(1930)に絶家となった。

 家屋全体が黒く塗られている商家は、トガ材を使った京風の2階建てで、母屋は3代目当主によって宝永3年(1706)に建てられたとされ、土蔵はそれよりも古い天和年間(1681-84)の建築という。つまり、まさに八幡商人が全盛を迎えていた頃の建築物ということになる。西川家の分家から土地と建物の寄贈を受けた市は、昭和58年(1983)1月に重要文化財に指定されたことを受け、翌々年から保存修理を行い、昭和63年(1988)10月から一般公開を開始した。

 この旧西川家周辺は、町並みが保存されている区域でもあるため、江戸時代の残り香が漂う独特な空気感があるが、建物の内部に入ってみると、その感想が一層強くなる。江戸時代の商人についてはほとんど何も知らないが、たまたま商売が休みに日に訪れたと錯覚してしまいそうな、まだまだ現役で使われていそうな雰囲気を、帳場などは持っていた。

 

最終訪問日:2001/8/31

 

 

帳場を覗くと、往時は分厚い大福帳に掛けを書く番頭の姿が浮かぶほど、雰囲気がありましたね。

その一方で、中庭は落ち着いた雰囲気があって、いかにも裕福な商家の庭という感じでした。