国内最大の揚水発電所である、関西電力奥多々良木発電所の上部調整池となっているダム。
黒川ダムは、麓の多々良木ダムと繋がっているが、この上部の黒川ダムが瀬戸内海に注ぐ市川の最上流部にある一方、多々良木ダムは日本海に注ぐ円山川水系で、水系の違う上下のダムで揚水発電を行っているというのは珍しい。その落差は387.5mで、この落差を利用して電力消費のピーク時に水力発電を行っている。
ダムの着工は昭和45年(1970)で、4年の歳月を掛けて同49年(1974)に竣工した。当初から発電能力は121万2千kWと日本一で、一旦は抜かれたものの、発電能力の増強を経て現在は6基の発電機を擁し、発電能力は193万2000kWと、再び日本一を誇っている。また、現在は水力発電だけではなく、他の用途への利水も進んでいるという。
ダムの構造は、高さ98mのロックフィルダムで、堤頂長は325mもあり、湛水面積は109ha、総貯水容量は3339万m3である。また、堤頂には舗装路があるが、徒歩で入ることが許されており、ダムの雄大な景色を味わうことが可能だ。
ダムの直下には、黒川の集落や黒川渓谷があり、その中には美人の湯として有名な黒川温泉もあって、ダムもそれら穏やかな観光地を成す一要素となっている。春の新緑の季節も良く、夏には賑やかさもあり、冬は冬で静かな世界が広がっている穏やかなダムだった。
最終訪問日:2018/5/5
生野の駅や生野銀山から曲がりくねった川筋を遡っていった先にあるんですが、ダムの辺りは深い山の中にあるとは思えない穏やな景色がありますね。
いつも感じるんですが、それまでの山道から一転して変わる景色に、なんとも言えない不思議さがあります。