Mottyの旅日記 Archive

Mottyが巡った場所の記憶と記録

彦根城博物館

 彦根市の市制50周年を記念し、昭和62年(1987)2月11日に復元された彦根城表御殿の内部を使用した博物館である。

 彦根城は、慶長5年(1600)の関ヶ原の合戦の直後の落城によって荒廃した佐和山城に代わり、東山道や北陸方面と、京や豊臣氏が健在だった大坂との交通を扼す城として、徳川四天王にも数えられた井伊家によって築城され、慶長11年(1606)かその翌年に完成した。その後、井伊家は他の大名と違って移封になることもなく、幕末の藩主井伊直弼を含めて4人の大老を輩出するなど、徳川幕府を支えている。

 明治維新後は、城は軍の管轄となったが、幸いにも破却されることはなく、また、第二次大戦の彦根空襲での損壊も免れた。こうして、貴重な建物や城地は守られ、国宝に指定されて今に至っている。

 彦根城博物館は、前述のように復元された表御殿の内部を使用しており、表御殿は、彦根城の内堀を跨ぐ表門橋を渡った場所にあった。現在の場所で言えば、表門券売所の前である。

 表御殿は、江戸時代の彦根藩の政庁としての機能と、藩主居館としての機能を併せ持っていたはずで、政庁として使われていた御殿の表向きの部分が、完全な博物館施設となっている。だが、奥向きは一転して木造で、当時をそのまま再現しており、藩主が日常生活を営んだ御座の間や茶室、庭園を見学する事ができた。やや珍しい構造ではあるが、特徴があって面白い。

 博物館の展示物は、彦根藩主だった井伊家から寄贈された武具や工芸美術品を中心とした展示で、朱印状といった古文書の類や、有名な天衝の兜も展示されている。博物館が保管する史料は、4万5千点以上もあるといい、恐らく期間ごとに常設展示の内容も更改さているのだろう。また、博物館内には能舞台も移築復元されており、年に何回かは能が上演されているようだ。

 資料館的な性格と、復元施設的な性格を備えた博物館である。

 

最終訪問日:2001/8/31

 

 

御殿として復元された建物ですが、中身はきっちり博物館でした。

かと思うと、奥は古風な御殿建築で、二面性があってなかなか面白かったですね。