佐倉城内にある国立の歴史民俗博物館で、昭和56年(1981)4月14日に設立されたが、一般公開は同58年(1983)3月からである。愛称は、歴博(れきはく)という。
日本には、美術系の国立博物館は明治時代から存在したが、歴史学系や考古学系の博物館は戦前には存在しなかった。しかし、戦後になると、同分野の博物館設立の機運が高まり、明治百年記念事業のひとつとして設立が決定したのが、この歴史民俗博物館である。
博物館の設立の趣旨として、考古、歴史、民俗を3本の柱とし、展示以外にも大学の共同利用機関として運用するという方針が掲げられた。3本の柱は、展示内容を見ると明白ではあるが、大学の共同利用機関という性格を打ち出したところに、この博物館の特色があるようだ。
博物館では、常設展示として第1展示室から第6展示室までがあり、約1万2千年前までの最終氷期であった後期旧石器時代から奈良時代までの展示である第1展示室から順に、平安時代から安土桃山時代までの第2展示室、江戸時代という日本の近世から近代の入口に掛けての時代が展示されてる第3展示室、民俗学が展示の中心となる第4展示室、明治時代から昭和初期までが展示された第5展示室、戦後から現代までの展示である第6展示室と続く。これに、期間限定の展示内容が加わり、全体の展示となっている。
また、敷地内の少し離れた場所には、くらしの植物苑という施設があり、食物や薬草となる食物を始め、織物や紙漉き、染め物など、かつての暮らしに濃厚に関わっていた草花が植えられているようだ。
展示室を順に見学して行くと、ビジュアル的に充実した展示内容と、レプリカの精巧さや豊富さに驚く。非常に時間と手間を掛けて検討構成された展示内容だと感じられ、物量も相当に豊富で、さすがは国立の博物館だ。対象は高校生以上とのことだが、それぞれの展示内容は部分的に深く掘り下げられており、見やすくはあるが薄くは無いという塩梅がちょうど良かった。
最終訪問日:2023/11/11
これぞ国立と思わせるだけの内容と量でしたね。
早め早めで回ったはずなんですが、完全に予定時間をオーバーしました。
しかも、第5展示室が改装中で見られないという状況で。
気候の良い時期なら、お弁当を持って途中で昼休憩を挟み、1日掛けて見学してもいいかもしれませんね。