3つのルートが構想された本州四国連絡橋の内、神戸淡路鳴門ルート上で明石海峡に架けられた橋。平成10年(1998)4月5日に開通し、全長は3911mで、支間長1991mは令和4年(2022)まで世界最長であった。
本州四国連絡橋については、3ルート同時着工を目指したが、その直前にオイルショックがあり、採算や優先度も含めて政治的な綱引きが影響することとなる。明石海峡大橋については、先行して造られるはずだった大鳴門橋の着工が延期となり、玉突き状態で着工が先延ばしされたほか、道路鉄道橋として構想されていたものが道路単独橋に変更されるなど、着工までに紆余曲折があった。
そのような事情を乗り越え、明石海峡大橋はようやく昭和63年(1988)5月に着工されたものの、工事途中で阪神淡路大震災を経験している。この地震では、構造物自体に大きな損傷は無かったものの、地盤の変化によって支間長が約1m延びており、全長と支間長が半端な長さになっているのは、この地殻変動によるものという。
明石海峡大橋は、愛称としてパールブリッジという名前が決まっているが、こちらは何故かあまり浸透しておらず、なぜパールが冠されたのか由来さえ知らない人も多い。実は、神戸は世界で流通する真珠の7割を加工選別している街で、そのことは単純に凄い事なのだが、愛称とするには認知度が低すぎたようである。ちなみに、省略されて明石大橋と呼ばれることも多いが、正式な明石大橋は、明石川に架かる国道2号線の橋のことで、長さは僅か100mほどと、明石海峡大橋とは似ても似つかない。
潮流が早い上に航行する船舶も多いという、船にとっては難所の明石海峡上に架けられた橋は、西は播磨灘、東は大阪湾と、雄大な景色を眺めることができる場所でもあり、走っていて非常に心地良い。天気のいい日には、橋上から小豆島や泉州の工業地帯まで見えるのだが、如何せん高速道路なので、渡るのに3分ほどしか掛からない為、もしじっくり見たいなら、明石港と岩屋港を結ぶ船がとてもお勧めだ。ただ、車やバイクで渡ることができたたこフェリーが廃止されてしまった為、今は自転車や原付二種までしか乗船できず、前後のアクセスがやや不便かもしれない。海上からは、じっくりと橋の姿やライトアップを眺めることができ、橋はもちろん神戸から加古川にかけての夜景が非常に綺麗で、ゆったりと景色を楽しむことができる。
最終訪問日:2024/6/3
地元の人間の仲間内では、単に大橋と呼んでいます。
バスで淡路島から通う人も出てきて、架橋前後で大きく変わるもんだと当時は実感しました。
さらに、橋を渡る料金が値下げされて以降、淡路島が本当に身近になりましたね。
今では、淡路島が関西有数のレジャー地域になりつつあるのも、橋の賜物です。